麒麟の翼 (特別書き下ろし)麒麟の翼 (特別書き下ろし)
著者:東野 圭吾
講談社(2011-03-03)
販売元:Amazon.co.jp
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オススメ!
寒い夜、日本橋の欄干にもたれかかる男に声をかけた巡査が見たのは、胸に刺さったナイフだった。大都会の真ん中で発生した事件の真相に、加賀恭一郎が挑む。

ネタバレ注意

ついこの間読んだ「カッコウの卵は誰のもの」と同じ作者とは思えないくらいよかったです!って言う言い方は失礼ですが^^;
謎や納得いかないところはなかったですし、結末は想像を超えていましたし、読み終えた後もいろいろと考えさせられる。満足です。
ただ、帯に書かれていたように「加賀シリーズ最高傑作」だったかと言うと、よかったけど他の作品も良かったしなぁ〜う〜んと、考えてしまいました^^;
帯の言い分じゃなくて東野さんも言ってるから期待したのだけど。いや、よかったのだけど、最高傑作かというと違うような・・・。
多分私の中の加賀シリーズ最高傑作は事件云々より、未緒が出てきたときな気がします。だってずっと気になっているけど出てこないんだもん。っていうか出てくる予定が東野さんの中にあるのか自体分かりませんけども。
犯人は全く予想だにしない人でしたが(糸川かと思いました)加賀の言うとおりですね。先生が逃げる方法を教えて逃げられてしまったから、同じ過ちをしてしまったんですよね。始めから全てを打ち明けていたら、こんなに悲しい結末にはならなかったのかもしれない。被害者も加害者も生まれなかったのかもしれない。糸川は子供たちのためなんていっていたけど、結局は自分がしていたことが公になるのが怖くて自分の生活や地位が崩れるのが怖かっただけなのだと思う。
被害者の会社だってそう。労災隠しが事件を通して判明して、死人に口なしをいいことに全部を青柳に罪を被せたに決まってる。(と思う)小竹が本当に家族を心配しているなら、あんな事を言うわけないもの。
警察側だって意識の戻らない容疑者にまとめたほうがいいような感じで無理矢理真相を作っているのがなんだか腹が立ちました。
加賀さんは変わらず、事件の真相だけではなく被害者や加害者側に立ってちゃんと双方が納得するまで自分の足で調べているのがカッコイイですね。砂の器の今西刑事を思い出しました。もの凄く粘りの捜査をすること。今の時代だと尚更なおざりになっている地道さとかアナログな感じが良いです。
最後のほうは読んでいて事件に関してもそれ以外も凄く辛かったけど、本当にかすかに光が見えて良かったと思いました。

〈講談社 2011.3〉H23.5.20読了