
著者:有川 浩
角川書店(角川グループパブリッシング)(2011-03-29)
販売元:Amazon.co.jp
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オススメ!
地方には、光がある―物語が元気にする、町、人、恋。とある県庁に突如生まれた新部署“おもてなし課”。観光立県を目指すべく、若手職員の掛水は、振興企画の一環として、地元出身の人気作家に観光特使就任を打診するが…。「バカか、あんたらは」。いきなり浴びせかけられる言葉に掛水は思い悩む―いったい何がダメなんだ!?掛水とおもてなし課の、地方活性化にかける苦しくも輝かしい日々が始まった。
私は本はほぼ図書館で借りて読みます。じゃないと破産してしまうので・・・。
でも、この作品は購入しました。
ご存知の方も多いと思いますが、この作品の印税を全て東北関東大震災の義援金として寄付すると有川さんがおっしゃったからです。その心意気が男らしくて(女性ですけど^^;)カッコイイ!と思ったのと、やっぱり少しでも被災者の方のお役に立てればと思ったので。
久しぶりに買った本なので、ちゃんと家で丁寧に読もうと思っていたのですが、日頃通勤時間以外はほとんど本を読まないので、ま〜読み進まないこと^^;
ということで、諦めて今日鞄に入れて電車やバスの中で読みました。そしたら1日でだいたい読み終えてしまったと言う・・・。なんだったんだ、この1週間・・・。
と言う事で、前置きが長くなりましたが、読み終えました。
ほんっとうに面白かった!有川さんの作品はやっぱりスバラシイ!
恋愛模様の書き方も勿論「ぐはっ!」と悶絶してしまうくらい素晴らしいのですが、どの作品のテーマにしても、とても細かく取材されているのがわかりますし、どの情景がとても簡単に浮かび上がるんです。本のテーマが出る作品ごとに全然違うのですが、それでもちゃんと着いていける。それが有川さんは上手いなぁと思うんです。
で、今回は実際に高知県にあるおもてなし課が舞台。
始めは読んでいると、喬介じゃないけど本当にイライラしました。
「これだからお役所仕事は・・・」って言われても仕方ないような状況。そして、どうして相手がイライラしているか分かっていないっていうのが凄いですねー。
多少誇張はあると思っていましたが、始めの「特使になってください!」といってから1ヶ月音沙汰なしだったというのが実話と知ってビックリ!
えー!!1ヶ月全く連絡しなくて放置!マジっすか。
って、私も一応肩書きは地方公務員なんですけど^^;ただ、民間でも働いていた身としては実際に「お役所仕事」という言葉が納得できる場面は働いていてもちょっと感じます。
まず、仕事で必要なものを大量にコピーする場合は本庁じゃないと出来ない。で、出来上がるのに1週間かかるんですよね。何故そんなにかかる?
例えばお客様にプレゼンするものがあったとして書類を大量にコピーするのに、1週間かかるってなったら、クライアントも怒りますよね。前の会社だったら名刺がなくなってきたので欲しいというと、午前中に言ったら遅くとも夕方には出来ていた気がします。待っててくれるだろう・・・。連絡してくれるだろう・・・。その「だろう」っていう思い込みが大きいのかなぁと思いました。
あと感じるのは空気感ですかね。まあ、公務員と言う肩書きではありますが図書館職員なので、他の部署は全く分からないので一概には言えませんが、雰囲気がまったりしてるんです。怒号なんて飛びません。時間に関してもそこまで厳守ではない気がします。
でも、私のいた民間企業は殺伐としていました。常に1分1秒を争っているような感じでした。広告業界だったというのもあると思いますが。
とまあ、私の話は置いておいて、だから、始めのおもてなし課の贅沢な時間の使い方には若干イライラして^^;読んでいました。
始めに掛水が吉門に電話をしているとき。吉門がイライラしているから丁寧な言葉で謝るのだけど、なぜ怒っているのかわかっていないのに、丁寧に謝るんですよね。掛水が民間の考えを少し言うだけで同僚に非難されたり。なんて頭でっかちなんだろうって思いました。考えが固執しすぎなんですよね。
それでも、これはおかしいと気付いたのが良かったのだと思います。掛水をはじめ、おもてなし課の面々が徐々に変わっていくのが本当に面白かったです。始めはお客さんをただ待っているような、変化を好まない人たちだったのに、自ら意見を出したり、人と交渉しようとしたり、進んで自分の足で動いて確かめようとしたり。はじめはイライラしましたけど、掛水君をはじめ、みんなが好きになりました。
そして喬介。始めは何だこいつは?と思っていたのですが^^;でも、民間としての意見は正論ですし、言っている事は真面目で、最初から好感を持っていたのですが。それでも、正体?を知って、おもてなし課に関わっていって、まさかあんな展開になろうとは。2組の恋愛模様もキュンキュンしちゃいました。あのもどかしさとか切なさとかくさい台詞とか、そういうのは有川作品の鉄板ですよね。
掛水君と多紀ちゃんのコンビが本当に可愛らしかった。2人とも素直じゃないですね^m^
物語としてとても面白かったです。リアルな分尚更楽しめたのだと思います。
高知の方言も、何だか新鮮でした。最後に「〜き」「〜にゃ」とか?かな。やはり地方を意識してかちゃんと方言も書かれていたのが良かったなと思います。
そういえば「第32進海丸」で土佐弁を喋ってたんじゃなかったっけか。その舞台は観にいかなかったけど、この方言を喋っていたのかな^^
そして、今高知は「龍馬伝」ブーム?が続いて観光客が増えていますよね。
でも、私はそのブームの前から高知県に行ってみたいとずっと思っていたんです。
やなせたかし美術館?とか、行ってみたいし、学校で勉強した四万十川も見てみたいし。ただ、北海道からの直行便はないので行きにくいんですよねぇ。
今年・・・は行かないかもしれないけど、いつか行きます^^
〈角川書店 2011.3〉H23.4.7読了
私も周りに、「この本だけは貸さない。買って」とお願い中。
私はお役所で働いているわけではないが、さもありなんと思いつつ、イライラしつつ、読み始めました。
悪意がないのはわかっているけど、それはお役所の外では通じないんだよーっ。
逆にその無邪気さ、鈍感さが、余計に人をいらつかせるんだよーっ。
……と本に向かって怒鳴ってもしょうがないんですが、きっとこういう空気の場所はあちこちにある気がする……きっとある……。
でも、お役所が縛られているというところも、清遠を通じて語らせていたり。有川さんはフェアですよね。
掛水君も最後にはかっこよくなれたし、きっと誰もが変われるんです。そう思いたいな。