ガラシャガラシャ
著者:宮木 あや子
新潮社(2010-11)
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嫁いだ後にはじめての恋を知った玉子はガラシャと名を改め、異国の神に祈り続ける。彼女に献身的な愛を捧げる侍女・糸もまた、報われぬ愛に身をこがし…戦国に散った細川ガラシャとその父・明智光秀、夫である細川忠興、舅の幽斎―想えば想うほどすれ違う恋人たちを描く渾身の恋愛長編。

細川ガラシャについては何かの歴史の本で読んだはずなのに、すっかり忘れていました。明智光秀の娘なんですね。
いろいろ変えているところもあると思いますが、面白く読みましたし、明智光秀についても勉強になったかなと思います。
にしても、これはどこまで史実なんでしょうか。何だか気になるところがたくさんあったんですけど・・・。
ガラシャと忠興は仲が良かったようなイメージがあるのですが、この作品の中の忠興は大嫌いです。というか、情けなくて女性にすがらなければ生きていけない弱い人間のように思いました。幽斎や興元の方がたくましく見えました。
お前を必ず連れ戻すとガラシャに言った言葉は本音だったのか、私には分かりません。
秀治の存在も本当なのでしょうか。彼とは本当に魂の片割れのような気がして、別れのときは悲しくてしょうがなかったです。
何よりも印象深いのは糸の存在でした。愛する自分のマリア様のために、命を懸けて守っている姿は本当に凄い。ガラシャのためなら男相手にも立ち向かう姿は、忠興なんかよりもよっぽど逞しく感じました。
この方も実在する方なんですね。本名は清原マリアというそうですが。
ガラシャの最期の後の話は史実ではどうなのかは分かりませんが、驚きました。
本当であって欲しいとも思うし、本当だったら糸が可哀相過ぎるとも思いますし、何だか気持ちは複雑です。
宮木さんの作品はずっと読みたいと思っていたんです。
ようやく読めて、良かったと思いましたし、他の作品も読んでみたいと思いました。

〈新潮社 2010.11〉H23.3.15読了