
著者:東野 圭吾
光文社(2011-01-12)
販売元:Amazon.co.jp
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「シャレードがいっぱい」
津田弥生はプールサイドで彼氏北沢孝典を待っていた。しかし、彼は来ない。家に行ってみると、死体となって横たわっていた。そこには血で書かれた「A」の文字が遺されていた。
「レイコと玲子」
葉子は深夜に家に帰るとその途中で少女が屈んでいるのを見つける。彼女は記憶喪失のようで、自分が誰か、ここがどこか分からないのだという。
「再生魔術の女」
根岸峰和は妻千鶴とともに小さな赤ん坊を見つめていた。この夫婦は子どもに恵まれなかったため、中尾章代の計らいで養子となる子どもを捜してもらっていたのだ。
千鶴が帰った後、峰和は説明を受けることになるが、章代は違う話を始めた。
「さよなら『お父さん』」
杉山平介は1人でテレビを見ていた。妻と娘は妻の実家へ行っているためいない。今日の飛行機で帰ってくるはずだった。しかし、2人の乗った飛行機は墜落し、妻は死亡した。娘は一命を取り留めたが様子がおかしい。
「名探偵退場」
アンソニー・ワイクはかつて名探偵として難事件を解決してきた。しかし、歳をとりかつて解決してきた事件の記録を残すようになる。ワイクはあと1度でいいから、難事件に出くわしたいと願っていた。
「眠りたい死にたくない」
今、ボクは危機的状況に陥っている。どうしてそうなってしまったのかを考えてみてみる事にした。確か、憧れの女性に食事に誘われて・・・。
「二十年目の約束」
村上照彦と付き合っていた亜沙子はプロポーズをされた。しかし、その返事をする前に照彦には「子どもは作らないけどね」と言われる。悩んだが結婚を快諾し、2人は結婚。始めは良かったが、照彦の海外転勤が決まり、海外に住むようになってからは孤独な思いをこらえきれず、亜沙子は思い悩むようになる。
あらすじに、メッシーとかアッシーとかミツグ君とか懐かしの映像みたいなので聞いたことのある言葉が出てきたから、昔の時代についての話なのかと思ったら、本当に昔書いた作品だったんですね・・・。どうりで若干時代錯誤。
あとがきに東野さんの言い訳が書かれていたのですが、あれはなくてもよかったんじゃないかな。あまりにも今まで読んできたこの作品たちを良く言っていなかったから。
そんなふうに自分は良く思っていない作品を読者に読ませているのか!と、失礼ながら思ってしまったので。
でも、私は全体的には嫌いじゃなかったですよ。
「シャレードがいっぱい」は主人公の高飛車な感じがいけ好かなかったけど^^;トリックは面白かったんじゃないかなぁと思いましたし。
「再生魔術の女」は面白かったです。展開が読めなかったですし、内容が昔に書かれているとは思えませんでした。
「二十年目の約束」はとても好きです。ミステリ要素がなかったから?か昔の東野さんは好きではなかったらしいですが。いい作品だと思いました。
「さよなら「お父さん」」はまんま「秘密」ですね。「秘密」を凝縮したようでした。ここから「秘密」が生まれたんですね。
あとがきがあってよかったと思ったのは「名探偵退場」と「新参者」が若干絡んでいることが分かった事かな。
〈光文社 2011.1〉H23.3.12読了
新作の『麒麟の翼』があと二人待ちなので、そちらに期待したいです(苦笑)。