ぼくが愛したゴウストぼくが愛したゴウスト
著者:打海 文三
中央公論新社(2005-04-25)
販売元:Amazon.co.jp
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それは初めて、少年が一人でコンサートへ行ったときからだった。帰り道に駅で人身事故を目撃してから、世界はどこか自分と違っていた。この不思議な世界、少年は何処へ向かうのか……。

「3652」で伊坂さんが話されていた、「ぼくが愛したゴウスト」読みました^^
いや、本当に想像がたくさん覆された作品でした。
冒頭の「ぼくは十一歳の夏までぼんやり生きていた」という文章から、夏に何かあったんだろうとは思ったけど、その「何か」が本当に想像とは思っていなかったものだった。
パラレルワールドに迷い込んでしまった翔太とヤマ健。
その世界には自分がかつて住んでいた世界と同じ世界が広がっていて、親も姉も友達も同じに見える。
でも、腐卵臭がして、尻尾が生えていて、極め付けが「心」というものがない。
「心」が存在しないというのが、1番印象深かったかも。
心の大事さがこの本を読んでわかったと言うか・・・。
主人公の田之上翔太は歳相応の子どもっぽさがありつつ、とてもいい子だと思いました。そして「心」の中の感情をこの世界で存分にぶちまけていたのだとも思った。。
翔太の境遇が、可哀相でしょうがなかったです。
彼は何も悪い事はしていないのに、尾行されて監視されて。
いつか、ちゃんと報われる時が来るのだろうかと思っていたのだけど。
終盤の展開が凄く意外だった。
まさかあの人と過ごす事になるなんて。
そして、ぼくが愛した「ゴウスト」の正体が驚きでした。
てっきり幽霊が出てきて関わっていってどうにかなるのかと思ったけど、そんな単純なものではなかったです。
打海さんの作品は初めてでした。というか、失礼ですが伊坂さんの本を読まなければ存じ上げないままの作家さんだったと思います。
本当に面白かった。
他の作品も、積読本が落ち着いたら読んでみたいと思います。(いつになるやら^^;)

〈中央公論新社 2005.4〉H23.2.26読了