メロディ・フェアメロディ・フェア
著者:宮下 奈都
ポプラ社(2011-01-14)
販売元:Amazon.co.jp
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大学を卒業した私は、田舎に戻り「ひとをきれいにする仕事」を選んだ。けれども、お客は思うように来ず、家では化粧嫌いの妹との溝がなかなか埋まらない。そんなある日、いつもは世間話しかしない女性が真剣な顔で化粧品カウンターを訪れて――いま注目の著者が、瑞々しさと温かさを兼ね備えた文体で、まっすぐに生きる女の子を描く、ささやかだけど確かな“しあわせ”の物語。

いきなりですが、私は化粧はほとんどしません。
前に勤めていた会社は広告代理店だったので人と会う機会も多く、同僚や上司からもよく化粧は女性のたしなみだと言われてきました。上司(男)に宴会の席とはいえ「中途半端な化粧してんじゃねえぞ」と言われた事もあります。
でも、基本的に面倒くさがりやなのと、目が弱いのでアイシャドウやマスカラをすると目が痛くなったり痒くなったりするので、極力しないようにしてます。
転職して、図書館司書になってからは(それがいいのかは分かりませんが)バッチリメイクも逆に浮いてしまうような気がしてファンデーションをつけて終わりって感じになってます。
だから、私も始めは主人公の気持ちはちゃんとは分かってなかったと思います。
でも、家族の溝を何とかしようと考えていたり、勤め先でもちゃんとお客さんのことを考えているのはえらいなと思いました。
私も、ショッピングモールではないけど、化粧品店で化粧をしてもらったことがあります。でも、どこか納得ができないというか、化粧している自分が気持ち悪くなっちゃったりして。主人公に私に合ったメイクをして欲しいなぁなんて、思ったりしました。
珠美が思っていることも分からなくはないけど、私は妹のくだりは読んでいて腹が立ってしょうがなかったです。
「文系の人はいいよね」みたいな台詞があったのですが、その台詞が嫌でたまらなかった。それほど嫌悪感を持ってしまったのは、珠美と自分の弟がだぶってしまったからかも知れないのだけど。
私は典型的な文系人間で弟は完璧な理系人間。理系の人がみんなそうだとはもちろん思いませんが、私も似たようなことを弟に言われた事があるんです。知らないと分かると何だかバカにしたような言い方をするし。
この本を読んでいると、お化粧のことと言い、姉妹の確執?といい、自分の古傷を抉られているような気がして、ストーリーとは全然関係ないのだけど読んでいてどんどん気持ちが暗くなってしまいました。
ミズキとのくだりや、浜崎さんとの話や、白田さんとの会話はとても微笑ましくて素敵だと思ったのですけど。
このお話は、私は入り込めませんでした。でも、まったく作品のせいではありません。あしからず。

〈ポプラ社 2011.1〉H22.2.22読了