人生相談始めました人生相談始めました
著者:蒼井 上鷹
PHP研究所(2010-11-27)
販売元:Amazon.co.jp
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モーさんの店は小さなショットバーで、繁華街から少し外れた雑居ビルの2階にある。バーテンダーという職業柄、常連客の身の上話の相手になることが多いモーさん。いつしかなしくずし的に「人生相談業」を始めるはめになったのだが、そのアドバイスがおかしな波紋を巻き起こしていくことに…。持ち込まれた相談の数々に、バーのマスターが出す答えとは?ちょっぴり苦い読後感が後を引く、連作ユーモア・ミステリー。
第1話「妻が新型インフルエンザ恐怖症になってこまっています」
モーさんが相談を持ちかけられた。寒川と言う常連客の奥さんが家の中でもマスクをしインフルエンザを恐れているのだと言う。
第2話「貸したお金を返してもらえず困っています」
銀行員の花園が室と言う男性がお金を返してもらえなくて困っているのだと言う。またバーの大家の四坪もお金を返さない者がいて困っているのだと言う。
第3話「カレシがいるのに他にも気になる男性ができてしまいました」
清美という常連の女性が遠距離の恋人がいるにもかかわらず、同じ職場の男性の事が気にかかっているのだと言う。それをモーさんに相談する。
第4話「子供が何を考えているのかさっぱりわかりません」
新しいアルバイトを雇う事になった。新しく来た高津と言う男性は人当たりがよく期待できたが、かつての常連の蔦津田の顔を見るなり逃げ出した。彼は息子なのだと言う。
第5話「キャバクラのコとつきあいたいんです」
常連の本間と言う男がキャバクラの子で気になっている人がいるのだと言う。<レニ>のバーのマスターが反対するから、モーさんにアドバイスがほしいのだと言う。
第6話「ネットでデマを流され迷惑しています」
先月からアルバイトとして入った宇佐美野乃と開店の準備をしていたら警察が入ってきた。かつて1日だけバイトをしていた高津が麻薬所持で逮捕されたそうだ。何故か今、ネット上でモーさんが薬物の売人をしているというデマが流れていると言う。
第7話「妻が子供を産んでから、すっかり太ってしまいました」
野乃にモーさんがココ先生だとばれた。また、警察が未だにバーの周りをうろついているため、野乃はモーさんの彼女のフリをしてこないように仕向けていた。
最終話「前の恋人から貰ったものを捨てずに使っていたら、今の恋人と喧嘩になりました」
野乃が冷蔵庫に何かあるのではと指摘したため、モーさんは野乃に真実を伝える決意をする。もともとモーさんは9年前に前のマスターからお店を引き継いでいた。前のマスターは後妻で血は繋がっていないが、モーさんの母親だった。

蒼井さんって、結構刊行ペースが早いですね。
ついこの間読んだと思ったのですが。
今回は連作短編集。
モーさんというバーのマスターが繰り広げる「人生相談」
モーさんは人のためを思ってアドバイスをしているのだけど、それが実は裏目に出ていたりあらぬ方向へ話が展開していったり。
蒼井さんの何度もひっくり返る話の展開に、頭がついていくのが大変でした。
どの話もなるほどーと思いましたが、特に思ったのは4話かな。
話の展開が何度も変わって面白かったです。
最後の話は、えー!モーさんってそんな人だったの?と思ったのですが、それもまた違う展開になって^^;もう蒼井さんには騙されっぱなしです。
長編も面白いけど、やっぱり連作短編や短編の方が好きかな。

〈PHP研究所 2010.11〉H23.1.16読了