なぎなた (倉知淳作品集)なぎなた (倉知淳作品集)
著者:倉知 淳
東京創元社(2010-09-29)
販売元:Amazon.co.jp
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「運命の銀輪」
伊庭照彰は金槌を振り落とした。和喜多文彦を殺した。これで共同で行っていた四季杜忍という小説家は1人になった。家へ戻るとちょうど宅急便から荷物が届き、これはアリバイになると自分はツいていると感じる。
「見られていたもの」
会社の上司につき合わされ、夜中に帰路についていた「私」は2人の男性がもみ合っている現場に遭遇する。1人が相手を刺している姿が見え、急いで警察に連絡するが、来た時には何の形跡も残っていなかった。
「眠り猫、眠れ」
ずっと飼っていた猫、モトノラの寿命が近づいてきていた。私は母親と一緒にモトノラの看病を続けていた。そんな時、かつての父親が何者かに殺されたと言う連絡が入る。彼は何故か神社へ逃げ込み、注連縄に巻かれて死んでいたのだと言う。
「ナイフの三」
コンビニ友達のレイ、ロック、デクと僕はいつもコンビニの外でたむろしている。ロックが突然興奮して話し出した。少女を誘拐して少女の切り落とした指3本を贈りつけた犯人を見たのだという。
「猫と死の街」
詩織の飼い猫ピラフがいなくなった。詩織は後輩の丈史を捕まえ、ポスターを貼る手伝いをさせる。丈史はポスターを貼っている時、中年の男性に「この猫は俺が殺した」と言われたと言う。
「闇ニ笑フ」
映画館でアルバイトをしている僕は、1人の女性客を気にするようになる。あまり知られていないマイナーな作品で、ラストがあまりにも残虐であるにもかかわらず、その場面で笑っていたのだ。
「幻の銃弾」
アメリカの大統領選の演説中、発砲事件が起きた。1人の男性が撃たれて志望したのだが、司法解剖の結果、銃痕が全くなかったのだという。死因は圧死。銃の音を聞いた観衆が逃げ惑い、つぶされたからだった。なぜ、銃痕が見つからないのか。

「こめぐら」の姉妹作品、「なぎなた」を読みました。
こちらは本当にシリアスでした。ちょっとグロテスクな表現もあり。そんなに怖くは感じませんでしたが。
どの作品も面白かったんですけど「見られていたもの」のオチがイマイチ良く分からなかったんですけど^^;理解力が足りなくてすいません。
好きだったのは「闇ニ笑フ」かな。女性の正体が分かった時に、なるほどと思いました。確かにちょっと考えれば分かる謎だったんですけどね。私は全然気付きませんでした^^;そしてこの作品には主人公の裏設定が!申し訳ないですが、ぜんっぜん気付きませんでした。でも、そういうのを知ると面白いですね。
「運命の銀輪」の乙姫刑事は凄かったですね。深層心理の暴き方がハンパなかったです。でも、本当に名前と不釣合いな風貌なんでしょうね。なんせ死神っぽい顔だそうなので。
倉知さんの作品をたくさん読めて幸せでした~^^
こちらもあとがきが長くて嬉しかったです。読んでいて思ったのは、本当に「ねこちやん」が好きなんだなということですね。
ダメって言わなかったら、ずーっと猫の魅力を語り続けていそうな勢いでしたから。
猫マーク付きのサイン本、いつかほしいです。
また新刊が出るのを楽しみにしています。

〈東京創元社 2010.9〉H22.12.3読了