こめぐら (倉知淳作品集)こめぐら (倉知淳作品集)
著者:倉知 淳
東京創元社(2010-09-29)
販売元:Amazon.co.jp
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オススメ!
「Aカップの男たち」
東堂課長は同性からも異性からも憧れの的である素敵な男性。しかし、彼には女性よりも大事にしているものがある。それが、オフ会だった。今日もいつものメンバーと集い、自分が身に着けているブラジャーを見せあっている。今日は会うのが初めてである青年がいた。彼もその場の雰囲気に慣れたころ、一つの事件が起きる。
「真犯人を探せ(仮題)」
ディレクターの月形が作家を探し、ラジオでの推理ものを提案した。その内容は殺人事件が起きたアパートで住民の中で誰が犯人か当てると言うもの。プロデューサーの大垣も、犯人は誰なのか考える。
「さむらい探偵血風録 風雲立志編」
「僕」はマイナーな局が作ったあまり知られていないドラマを見るのが好きだった。今回の作品は、時は江戸時代。何者かが殺されたようだが、犯人の姿の目撃情報がないのだという。
「遍在」
「僕」は書庫から古文書を見つけた。僕の家は代々伝わる名家だった。だからか母親がいつも結婚相手について話しかけてくる。僕の母の兄はかつて残虐な事件を起こし、自殺していた。叔父は何かの研究に没頭していたらしい。
「どうぶつの森殺人(獣?)事件」
動物が共存する森で殺人事件が起きた。殺されたのはキツネさん。記者のウサギや犬のお巡りさんなどが、事件の真相を探る。
「毒と饗宴の殺人」
カメラマンである溝呂木大河が賞を取り、パーティが開かれる事になった。
しかし開始直前、彼の助手だった相沢がクビにさせられたと、感情が昂ぶり騒ぎ始めた。そんな時、1人の男がその場を抑えた。パーティの終了間際、殺人事件が発生する。

倉知さんの16年間の作品を集めた作品集です。
倉知さんの作品は大好きなのですが、ここ数年新刊が出ていなかったので「ちゃんと生活できているの?」などと失礼ながら心配していたのですが、この本に収録されている6編は、中にはここ数年の作品もあったので、ちゃんと物語を書いているんだなと嬉しくなりました。(ちょっと上から目線)
そして凄く面白かったです。作品によっては15年前のもあれば最近のもありましたが、違和感を感じなかったです。
最後に猫丸先輩が登場して嬉しかったです!久しぶり!
あとがきで倉知さんが、倉知作品を読まれている方は猫丸先輩はご存知ですよねみたいな事を書かれていて、「ご存知ですとも!」と思いつつ読みました^^
作品は97年に雑誌に出たようですが、未収録作品だったんですね~^^嬉しい。
猫丸先輩だけはこの人がやってくれたらいいな~と思っている人がいるので、大きなぬいぐるみを頬ずりしている姿を想像して可愛い~って妄想しました。
倉知さんは猫丸先輩シリーズが段々殺人事件が絡んで来なくなったので、この作品も収録できなかったんだとか。もったいない。
でも、猫丸先輩の暴走振りがお偉い人のパーティだったのかちょっと抑え気味でしたけども。
どの作品も面白かったです。大体真相はバカバカしいものでしたが。
ご本人もおっしゃっていましたが「遍在」だけちょっと異質でした。
ミステリでもないし、ただ暗いと言うか・・・。
今回はあとがきがついていました。しかも長い!
倉知さんが1つ1つの作品について熱く語っていました。
中でも印象深かったのは東京創元社の編集者担当が倉知さんと桜庭さんが一緒って言う事。K島氏ですね。
倉知さんが「桜庭一樹さんの読書日記の中に登場するK島氏と同一人物」とおっしゃっていたので驚きました。読んでいるんですね~^^
あとは倉知さんの自分の事についてを書く言葉が面白いです。
倉知さんの口調が猫丸先輩のようでした。
あ~面白かった!
倉知さんが「こめぐら」と「なぎなた」は姉妹作なので、一緒に見てください。是非とも買ってください。とのことでした。
読みますよ~^^早速次は「なぎなた」を読もうと思います。

〈東京創元社 2010.9〉H22.12.1読了