ばら色タイムカプセルばら色タイムカプセル
著者:大沼 紀子
ポプラ社(2010-08-07)
販売元:Amazon.co.jp
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オススメ!
13歳の家出少女・奏が流れ着いた場所は、海が見える町にたたずむ、不思議な老人ホーム『ラヴィアンローズ』だった。咲き誇る薔薇が自慢のこの施設で、年齢を詐称して働きはじめた奏は、薔薇園に隠されたある噂を知ることに…。40年以上の時を超えてその秘密が明かされるとき、止まっていた、みんなの時間がふたたび動き出す。

私好きです!この作品!大好きだ!
家で少女の奏(かなで)は、家での居場所を失い、家出をする。そこでたどり着いたのが老人ホーム。
その老人ホームの人たちがみんな粋なのです。
長い年月を生きているだけあって、みんな「死」についての覚悟を持っていて、それを抱えて明るく生きてる。
だから、若造の考えている事は多分お見通しなのだと思う。
奏はストレスからか白髪だけど、よく見ると幼い顔をした13歳の少女。20歳と偽って働かせてもらう事になったけど、きっとみんな気付いているはず。
全てを分かった上で働かせているんだから、相当肝の据わった人たちなんだろうなと思った。
遥さんや登紀子さんも素敵だったけど、特に印象深いのはプロ乙女集団^m^
万理さん、千恵さん、佐和子さん。結局この3人が最後までキーマンだったな。
途中から登場した山崎君も、とってもいい子。
出てくる人たちみんな個性的で、そしてあったかかった。
奏のおかれている状況は変わっていないけど、奏はもう前向きに生きようとしているから大丈夫だと思う。
そういう罪の心は誰でも持つものだと思うから、気にしないで生きて、大人になっていってほしいなと思った。
大沼さんの作品、好きだ!「ゆくとしくるとし」も好きだけど、こっちも好き。どんどん書いていって欲しい作家さんです!

〈ポプラ社 2010.8〉H22.11.4読了