琉璃玉の耳輪琉璃玉の耳輪
著者:津原 泰水
河出書房新社(2010-09-10)
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オススメ!
時は昭和三年―名探偵・唐草七郎の一番弟子にして閨秀の女探偵・岡田明子のもとへ舞いこんだ、摩訶不思議な依頼。「三姉妹を探して下さい。手掛かりは、三人とも左の耳に、一粒の琉璃玉が嵌った白金の耳輪をしています」阿片窟の女傑・女掏摸・生人形の少女・男装の麗人・旅芸人一座・変態性慾の男・老刑事・放蕩の貴公子…奇想天外、魑魅魍魎、百花繚乱、女探偵・岡田明子の事件簿。

津原さんの作品は初めてでした。
でも、原案は尾崎翠という方なのですね。現代の方なのかと思いきや、明治から昭和を生きた方だったんですね。
昭和初期の設定とは思えませんでした。現代を生きている女性たちの物語なのかと思いました。
そもそも、探偵が登場したりそれが女性だったり、催眠術やら最新技術やら、現代の話でもおかしくない設定が次々出てくるんですから。間違っても致し方ないと思います。
尾崎翠さんという方がどれだけ先を見越していたのか、考えると末恐ろしい気がします。
出てくる人たちもそれぞれ個性的で本当に魅力的。
どんなにひどい人でも、読む手は止まりませんでした。
その中でも1番は岡田明子という女探偵。始めは有能さを強くは感じなかったのですが、凄いです、この人。
後半の救出シーンは驚きでした。
女性だけど男らしい。回想シーンを読んでいて惚れそうになりました^m^
最後はほっとしたのだけど、それでもやりきれないところがありました。
三姉妹がこれからどうなるのかは分からないけど、それぞれ自分の好きな道で、幸せになってほしいと思いました。
お父さんと、お母さんの分まで。

〈河出書房新社 2010.9〉H22.10.27読了