
著者:坂木 司
販売元:光文社
発売日:2010-04-20
おすすめ度:

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オススメ!
「和菓子のアン」
梅本杏子は高校を卒業後の事を何も考えられずにいた。職探しをしていたデパートで、和菓子屋さん「みつ屋」で働く事に決める。まだ仕事に慣れていないある日、OLが和菓子を求めてやってきた。椿店長はそのOLが会社の会議で役員が食べるものだと見抜く。始めは均等に2種類の和菓子を買っていたのだが、次に来た時は「おとし文」を1個と、「兜」を9個購入していった。品が減っているわけでもなく、杏子は疑問に思う。
「一年に一度のデート」
段々熱い季節が近づき、お中元の季節も同時にやってきた。和菓子屋さんは繁忙期となり、忙しい毎日。七夕に来店した若いお客様は旧七夕の8月にまた来店した。6時間移動するため、何とかならないかと相談する。また、1度来店し、それ以来常連となっている杉山様はいつも注文するものの中に「松風」を必ず1つ入れる。8月の半ばに来店された時、店長は「松風は買わなくていいのではないか」と伝える。
「萩と牡丹」
「みつ屋」に明らかにヤクザの身なりの男性がやってくる。杏子は身なりで差別してはいけないと、笑顔で接客するが、その男性客は良く分からない事を言って、杏子を試しているようだった。
「甘露家」
今月はバイトの桜井さんが忙しいため、初めて遅番ではいる事になった杏子。朝に入っているときとは違う売れ行きや客層に新鮮さを感じる。その際、お酒売り場で働く楠田さんと知り合う。彼女はベテランで、いろいろ接客についてを教わるようになる。その楠田さんは、いつもたくさんのお惣菜を持ってデパートを出ている。1人暮らしといっていたのにどうしてか、杏子は疑問を持つ。また、同時期に金の林檎という洋菓子屋で働く桂沢さんと知り合う。桂沢さんとロッカールームで会い、大量のケーキを持っていた。
「辻占の行方」
お正月。「みつ屋」では辻占という和菓子を売っていた。割ると中から占いの紙が出てくる。売れ行きは良かったが、お客様から白紙だと苦情が入る。また、若い女性から、紙に絵が書かれているので意味を知りたいと言ってきた。しかし、工場で絵のものは製造していないと言う。
ネタバレあります
うわ〜ん!読み終わりたくなかった。ずっと読んでいたかったのに〜。あっという間に読んでしまった〜><だって面白いんだもん。坂木さんの本は面白くて読む手が止まらないんだもん。でも、終わりたくなかったんだも〜ん!
・・・はい。失礼いたしました。
坂木さんの作品、大好きです。今回の作品も大好きです!
悪い人は出てこなくて、温かい気持ちになる。そんな作品です。
今回の主人公は女の子。食べる事が大好きなちょっとふくよかな18歳の杏子ちゃん。通称アンちゃん。
商店街の中で生まれ育ったからか人懐っこくて気遣い屋さんな印象。顔はわからないけど、とってもかわいいいい子だってことが伝わってきます。
しかも、最初から「新井クリーニング」と言う名前が!「切れない糸」で登場した商店街に住んでいるんですね。何だか嬉しいです^^
しかも杏子ちゃんのお母さんが新井クリーニングで働いているとな!?ってことは登場してるってことじゃないですか!そう思った瞬間、杏子ちゃんの名字を思い出してみた・・・。
・・・いたー!!いたよ!梅本って言うおばちゃん!どんな話したかは忘れたけど!食べるの大好きだった気はする。
凄い凄い!リンクしてるね!娘さんの話はしたのかなぁ。今度再読してみます。
・・・話がそれましたが。
和菓子屋「みつ屋」の店員さんもとっても魅力的なんです。
とっても綺麗なのにファッションセンスが悪くて中身がおっさんの椿店長。とってもイケメンなのに中身は乙女な立花君。元ヤンの大学生桜井さん。
みんなとってもいい人なんです。椿店長は、和菓子に関わる謎を次々解き明かしちゃうし、ちょっと影のある素敵な人。桜井さんも、困ったお客さんが登場したら杏子をフォローするとってもカッコイイ女の子。
そして立花さん。杏子もといアンちゃんを見て「かわいー!」を連発。平気でアンちゃんのほっぺたや二の腕を触りまくる乙女系男子。
私は1番立花さんがお気に入りです^^
でも、乙女だけど男らしい一面もあると思いました。
ぼや騒ぎがあったときに、まずは杏子を逃がそうとしていたし、師匠がやってきて杏子をからかったと知ったら、怖かったでしょ!ごめんね!ってしっかり謝るし。乙女だけどカッコイイと思いました^^
立花君が杏子の事を「女の子」っていう時が何度かあります。男の人が女の子っていうと、私は嫌なイメージがあるんだけど^^;(何か下に見られている気がして。男性には申し訳ないですが)でも、立花君が言うと違うニュアンスに聞こえるんですよね。同性っぽい雰囲気があるからかもしれないけど。杏子ちゃんと同じく男の人が苦手な私も、立花君の言う事は結構すとんと入ってきました。
まあ、杏子ちゃんは10代だけど、いい歳した私が男の人が苦手とかいうのは、何だか痛い気がするけども^^;
私のイメージでは立花君の仕草の女っぽさは昔「学校へ行こう」に出ていた「おどめちゃん」を想像しました。(仕草だけね!顔はイケメンらしいから!・失礼)って知ってる人、あまりいないと思いますけど。。。顔は、かっこいい感じの顔を妄想してみます^^
それにしても、和菓子って歴史があってとっても興味深いですね。
この小説を読んで勉強になりました。メモしておけば良かったと思うくらい!
源氏物語が関わっていたり、昔からある御伽噺にかかっていたり。
早速和菓子屋さんに走ろうと思います^^
店長の秘密は、じわ〜っときました。きっとそんな感じだろうと思ったけど、でも、じわ〜っとしました。だから、あんなに人のことを理解できるのかなぁ。
最後の章で、立花君はアンちゃんに酷い事を言ったけど、もう許すしかないよね。私も許すと思う。突っ伏して泣くとか、すんごい鼻声とか、ウサギ目とか可愛すぎ!あぁ・・・どんな顔を想像しよう・・・。
最後の立花さんの言葉が好きです。
「和菓子は、アンがなくっちゃはじまらないんだから」
これに尽きるんですよね。
この作品はシリーズ化されないのかなぁ・・・。
本当にお気に入りなんだけど・・・。
あとがきに坂木さんが一緒にお団子食べませんかって誘ってくれているんですが。行きますよ!日本全国どこでも行きますよ!坂木さんと一緒なら!
っていうか、坂木さんは男性なの?女性なの?一緒に行ったら、公表する事になっちゃうよ^m^
〈光文社 2010.4〉H22.5.22読了
和菓子のウンチクも盛り沢山で、そういうところも興味深く読めました。
これは是非とも続編を書いていただきたいですね!
そしてそして、私も坂木さんと一緒にお団子食べたいです(笑)