リスの窒息
リスの窒息
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昼どきの秋津新聞社投稿課に届いた一通のメール。
添付ファイルに写るのは、拘束された女子中学生だった。
犯人は何故か身代金をその少女の両親にではなく、秋津新聞社に要求する。
その後、メールが届くたびに、彼女は服を剥ぎ取られていく。見ず知らずの少女を救うため、新聞社は身代金を支払うべきなのか?

ネタバレあります

最近読んだ石持さんの作品の中でははまった作品です。
って、えらそうな書き方ですが^^;
始めは少女が拘束されている添付画像付きのメールが秋津新聞社に届いた事から物語が始まります。
何て酷い事を。犯人の目的はなんなんだ?
などと思いますが、すぐにその少女、野中栞の自作自演だということが分かります。
しかも、その事件を企てた理由は、母親が不倫をしており、父親が母の情事を目撃してしまい、2人を殺し、父も自殺するという惨劇を目撃したから。両親が死に、これからは1人で生きていかなければならないし、お金もない。そこでこの狂言誘拐を考える。
その考えが浅はかだし、人間とは思えない。以前事件を起こしている秋津新聞社を利用し、敵対されている週刊道標にも同様のメールを送りつけ、秋津新聞社を窮地に追いやる。本当に陰湿で最低の行為。
最後はほっとしました。
でも、新聞社の方も何だかイライラしたなぁ。世間体というか、自分の立場というか、会社に爆弾抱えている人間がいて、警察に知らせるか知らせないか、うだうだしているのがイライラしました。
舞原馨と先輩の細川はまともだった。というか、細川の過去は本当に可哀相で、今回の事件は、その過去の想いを、ほんの少しでも払拭できたのなら良かったなと思う。
舞原は最後に犯人についての意見を語っていたけど、私は同意は出来ない。いくら天涯孤独になったからって、あんなことをしていいわけがないもの。
イライラしたところはあったけど、最近の作品の中では良かったです。って、最後まで偉そうですみません。
そういえば、今月またまた新刊が出たみたいで。石持さんは刊行ペースが早いのでどんどん読んでいかないと、おっつかなくなります^^;

〈朝日新聞出版 2010.2〉H22.4.30読了