キケン
キケン
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オススメ!
ネタバレありです

第1話「部長・上野直也という男」
成南電気工科大学の1回生である元山と池谷は1枚の張り紙を見ていた。サークルの勧誘のポスターで、名前は機会制御研究部。先輩らしき人間に部室へ連れて行かれ、2人は入部する事になった。部員は幽霊以外は2回生の部長上野と、副部長の大神のみ。部は通称【キケン】。上野は火薬が好きで、なにかしらの実験を行っている。上野は2人の度胸を試すため、2人を連れて公園へ向かった。
第2話「副部長・大神宏明の悲劇」
新入部員も増え、落ち着いてきた頃。大神がお嬢様大学の白蘭女子大学の女性からラブレターをもらったのだ。2人は付き合うことになり、いい雰囲気になっていく。付き合って3ヶ月が経ったころ、彼女から自宅に来ないかと誘われた。
第3・4話「三倍にしろ!-前・後編-」
学校祭の季節がやってきた。毎年キケンではラーメン店を出店していると言う。しかもわりと好評で、何度かは奇跡の味が生まれるらしい。「お店の子」である元山は、その奇跡の味を出し続けるスープを作れという使命を仰せ付かった。しかし、なかなかいい味は作れない。そして屋台作りは…【前編】
ついに学校祭が始まった。因縁の相手、PC研がなんと向かいに同じラーメン店を出店している。果たしてキケンは3倍の売り上げを勝ち取る事が出来るのか!?【後編】
第5話「勝たんまでも負けん!」
春休み、キケンはロボット相撲大会に強制参加させられる事になった。その理由は学校祭での上野の行為。その責任を全員で負う事になったのだ。
ロボット操作に任命されたのはいつも冷静な池谷だった。
順当に勝ち進み、最後の決勝。相手は学生にはつぎ込めないくらいのお金をつぎ込んだロボットを従えるおっさんチームだ。体躯からしても勝つのは難しそうだ。次なる作戦は?
第6話「落ち着け。俺達は今、」
進級してまもなく、元山は思いついて空気銃を作った。それがきっかけである一線を超えそうになる。
そして現在。
10年が経ち、大学へも顔を出さなくなっていた。かつての大学時代の思い出を語ると、妻は喜んで笑いながら聞いてくれた。それがきっかけとなり、数年ぶりに大学祭へ行く事を決意する。

あー面白かった!
有川さんは本当にあまり人がテーマにしないものを取り上げる事が多いですね。
私は完全なる文系人間なので、全然分かりません。
中学までは数学が1番得意だったはずなのになー。どうしてこうなってしまったのか・・・。って自分の事はさておき。
始めは上野のぶっ飛んだ性格が大丈夫か?と思いましたけど、大神の存在のお陰か上手く何とかなってましたね。大神が鞘の役割のようで。
元山の突っ込み役もいいし、池谷の冷静なところもいい。みんな可愛らしい奴等だなぁとおもいました。では順に感想を。
1話の出会いの章。いいですね、後輩が部にふさわしいか試す場面。本当にやってる事はアホなんですよねぇ。それでも楽しそうだなぁと思うから不思議。
こんな部にいたら、毎日が楽しそうでいいなと思いました。
でも、上野はおぼっちゃんなのに、自宅にいると危険だから離れのプレハブで生活してるって言うのが爆笑。どんだけ危険人物なんですか^^;
2話の大神の悲劇。私も奥さんと同じく「カマトトぶってんじゃねぇ!」と思いました。誘ったのはお前だろ!と。「怖い」って言った場面は殴ってやろうかと思った。(どうやって?^^;)私は4人の中で付き合うなら大神だと思ったんだけどな。奥さんの事も子供の事も同じくらい大事にして大切にしてくれそうだなと思ったから。
そして学祭。
これも面白かったですねー。学祭でここまでお金と労力をかけるなんて・・・凄すぎます。
お店の子の元山が今回は頑張りましたねー。スープ作りもそうだし、拉致事件も。逃げる事じゃなくて闘う事を選んだ元山は立派だと思いました。上野の血を受け継ぎましたね。(え)
ロボットはオバカすぎて割愛。面白すぎる・・・
そして現在。
元山の気持ちは分かる。母校に変わりはないけど、去ってから来るのとは立場が違うから、疎外感を感じるんだよね。先生とかも変わっていないのに。不思議ですけども。
でも、あの黒板の文字は私、涙しました。なんて、バカでカッコイイ奴等なんだろうと。
男同士っていいなって、読んでいて思いました。いやー、泣いた。
男同士って青春!っていう感じで、なんだか羨ましい。
全然内容は違うけど、男同士のバカッぷりが「フライ、ダディ、フライ」を思い出しました。

〈新潮社 2010.1〉H22.3.10読了