犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)
犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)
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何か自営業を始めようと決めたとき、最初に思い浮かべたのはお好み焼き屋だった。
しかしお好み焼き屋は支障があって叶わなかった。
そこで調査事務所を開いた。この事務所〈紺屋S&R〉が想定している業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。
――それなのに開業した途端舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。
しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして――
いったいこの事件の全体像は?犬捜し専門(希望)25歳の私立探偵・紺屋長一郎、最初の事件。『さよなら妖精』で喝采を浴びた著者が新境地に挑んだ青春私立探偵小説!

とても今更ながら読みました。この本、4年位前に買っていたのですが、なかなか読めず。
面白かったです。
紺屋の境遇は少し共感できました。ストレスってどんなところに出てくるかって分からないから。
進学校へ行って大学へ行って、自分が興味があるのか分からないけど銀行員になってエリートの道を進もうとしていたのに、それが崩れていく。
妹の梓や、ハンペーの存在って、とても大きいと思います。
紺屋を必要としているって言う事ですし。
にしても、米澤さんは話の展開が本当に上手い。
見事に古文書の謎と失踪事件をクロスさせていましたね。
佐久良桐子という女性が天職だと思っていた仕事を辞め、彼氏とも別れを告げ、家を引き払った。
それは何故か。読んでいくうちにどんどん引き込まれました。
でも、ネット社会って怖いですね。
桐子のHPを発見する事とか、蟷螂のした行動とか。GENさんがしてくれた事も善意でやっているけど、悪用だって出来る事だと思うし。
ただ、後味は悪かった。米澤作品を数冊読んでいればこういうラストも納得できるので、なるほどとも思いましたけども。
続編・・・出てるのかな。出てないのか?
この2人なら、ほのぼのと解決しそうですよね。

〈東京創元社 2005.7〉H22.3.7読了