ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。
ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。
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“30歳”という岐路の年齢に立つ、かつて幼馴染だった二人の女性。
都会でフリーライターとして活躍しながら幸せな結婚生活をも手に入れたみずほと、
地元企業で契約社員として勤め、両親と暮らす未婚のOLチエミ。
少しずつ隔たってきた互いの人生が、重なることはもうないと思っていた。
あの“殺人事件”が起こるまでは……。
辻村深月が29歳の“いま”だからこそ描く、感動の長編書き下ろし作品!

講談社創業100周年記念出版、書き下ろし100冊の中の1冊。
辻村作品ならではの「女子」がまた上手く書かれているなぁと思います。
女の子って不思議な生き物ですよね。
仲が悪くても誘ったり、自分のためになると思ったら好きではない相手とも遊んだり。
私は、学生の頃はどこにも属さない子だった。
仲良しグループにいるわけではなくて、だからといっていじめられているわけでも友達がいないわけではなくて。
辻村さんの作品を読むたびに、女の子ってこんなに相手の事を探りあったりするものなのかなってびっくりする。
みずほとチエミ。全然タイプは違うけど、それぞれ相手に縋っている部分もあったのかなと思う。
みずほは周りから見れば完璧で羨ましい対象だった。だけどコンプレックスだって内に秘めている悩みだってあって。
チエミはやっぱり異常の域に達しているように思う。人に依存しすぎてる。自分の意思で動いていないし、自分の人生なのに誰も何もしてくれなかったからこうなったって悲観してる。それはやっぱり甘えとしかいいようがない。
チエミは読んでいるだけでもイライラしたし、私も避ける人物な気がする。
だけど、この2人のどっち寄りかと言うと、私はチエミのほうだと思う。親に対しては少なからず依存してると思うし、分かる部分はあった。
でも、自分のことは自分で決めないと。人に頼ってそのまま生きて、だめだったら人のせいにする。とっても楽だけど、つまらないし、人として成長できないし。チエミの怒りは、正直見苦しかった。子供の喧嘩みたい。
みずほは自分のことをちゃんと理解して割り切っているようにもみえた。
自分の身に起きている事もちゃんと受け入れて認めていたから。そのこともそうだし、チエミを追っている姿は「模倣犯」の前畑滋子さんを思い出しました。
ちょっと、痛々しいところとか。でもめげずに追う姿とか。
みずほには頑張れと思うけど、チエミには私は同情はできない。母親に報告した事だって、母親が笑って喜んでくれると思ってることがおかしいし。
30歳・・・かぁ。どんどん近づいていってるけども。
人のレベルってなんなんだろうか。学歴?家柄?チエミの遣う「レベル」って言う意味が分からなかった。エリートとかそんなの外面だけだし。
中身がよくなきゃ、一生って考えたらそんなの二の次になると思うんだけど。
そういう考え方もオママゴトっぽくて嫌だった。
う~ん・・・良い事を書いていないな。
でも、好きな作品です。
相変わらず、心の奥に眠っていた傷を抉られるようなところもあったけど^^;
いろんなところに伏線があって、なるほどって思ったところもあったし。
チエミは、可哀相な子だと、私も思う。
そしてタイトル。最後の最後にあんな意味があったとは。
驚きです。
私はのび太の誕生日の数字だなくらいしか思わなかった^^;

〈講談社 2009.9〉H21.12.25読了