ふちなしのかがみ
ふちなしのかがみ
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「踊り場の花子」
この小学校には少し変わった七不思議がある。花子さんが現れるのが階段なのだ。
1ヶ月前、青井さゆりという女子生徒が亡くなっていた。さゆりはよく、花子さんが出る階段を掃除していたらしい。
担任だった相川は、夏休みの当番で学校へ来ていた。そこへ1ヶ月前まで教育実習で来ていた小谷チサ子が忘れ物をしたと言って学校へやってきた。
「ブランコをこぐ足」
倉崎みのりはブランコを漕いでいて転落し、死亡した。そのときの状況や、学校ではどういう子供だったのか、クラスメートなどから話を聞く。みのりたちの間では「キューピッド様」というゲームが流行っていた。
「おとうさん、したいがあるよ」
祖父母の家へ久しぶりに行くと、祖父は足腰が弱く、祖母は認知症が進行していた。
家の中は散乱しており、とても人の住める状態ではなかった。つつじと両親は毎週末に掃除をすることになった。
庭で買っているペロを見つけると、異臭がした。その近くには、少女の死体があった。
「ふちなしのかがみ」
香奈子はバーのステージでサックスを吹く高幡冬也を好きになった。将来、彼と結婚できるのかを「鏡占い」で試すことに。そこには小さな少女が写し出された。彼との子供だと、香奈子は喜ぶ。
しかし、冬也が女性と一緒にいるところを目撃してから、悪夢を見るようになった。
「八月の天変地異」
シンジはキョウスケのことを恨んでいた。あいつと一緒にいなければ、自分は仲間はずれにされることはなかったのにと。クラスの子供に嫌われたくないシンジは「ゆうちゃん」という、凄い子供と友達なのだとクラスの子供に言いふらすようになる。
しかし、それはシンジにとって、架空の友達だった。

読みました。
辻村さんの作品は、小さいときに忘れていった傷を、今になって抉られているような錯覚に襲われます。
私は多分、いじめ側にも、いじめられている側にもついていなかったと思うけど、やっぱり読んでいて胸が痛む。子供っていうのは残酷で、自分がそう言われたらどうなるかを考えずに行動するときがあるから。
今は特に、昔よりも陰鬱なんだろうな。
花子さんは私の行っていた小学校でもありました。
みんな、3番目のトイレは使ってなかったな〜。この作品は本当に怖い。
あんな意図が隠されているとは。犯人が意外だったし、結末も想像つかなかったです。でも、ただ死んじゃった女の子がかわいそうだった。
「ふちなしのかがみ」は途中から分からなくなりました^^;
私も同様にどこが現実でどこが夢なのか分からなくなった。怖かったなぁ。
このなかだと「八月の天変地異」が1番好きかな。
不思議な現象だったけど、怖くなかった。
凄く切なくて、温かくなりました。
まだそんなに辻村作品を読んでいるわけではないけど、この作品はいつもとテイストは違えど、だまされた!ってところがたくさんあって、どんどん進んでいく。
それは辻村作品だなと思う。
面白かったです。

〈角川書店 2009.6〉H21.10.23読了