切れない糸 (創元クライム・クラブ)切れない糸 (創元クライム・クラブ)
著者:坂木 司
販売元:東京創元社
発売日:2005-05-30
おすすめ度:4.5
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オススメ!
東京の商店街育ちの新井和也は、大学卒業を間近にした冬、家族の危機に直面する。
そこで急遽、就職の決まっていない和也が家業のアライクリーニング店を継ぐことに。
同級生達の新しい門出に沸く春、不慣れなクリーニングの集荷作業でお客さんから預かった衣類から思わぬ謎が生まれていく。同じ商店街の喫茶店で働く沢田直之、店のアイロン職人・シゲさんなど周囲の人々に助けられながら、謎を解明していく。
<第1話>グッドバイからはじめよう
家族の危機に直面し、家業を継ぐ事になった和也は仕事に慣れない日々を送っていた。買い物を頼まれ、スーパーへ行くと、お得意様となっている河野という男性に出会う。会社帰りに買出しをしているらしい。河野は最近多くクリーニングを利用しているが、その中身が妙だった。奥さんが入院中で、全てクリーニングに出しているのかと思いきや、午前中には子どもを連れた奥さんが荷物を引き取りに来る。ある日、和也はその子ども、雅史に頼まれごとをする。
<第2話>東京、東京
糸村真由子という同級生が同じ商店街に住んでいる。広告会社に就職が決まり、それを機に一人暮らしをするようになった。真由子の母親に、仕事がてら真由子の様子をみてきてほしいと頼まれる。和也は真由子の家へ行き、クリーニングがないか訪ねるが、真由子は頑なにそれを拒否する。
<第3話>秋祭りの夜
商店街の祭りの季節が近づいてきた。和也たちは何か出店しようと計画する。アライクリーニングに渡辺という男性がやってくる。彼のものは特殊で煌びやかな女性の衣装やバニーガールの衣装まであった。そして彼は、時間帯によって態度が大きく違った。
<第4話>商店街の歳末
和也と直之は夜の見回りを行う事になった。最近商店街で、不思議な現象が起きているのだという。女性の幽霊が現れるらしい。それと同時期に、シゲさんの様子がおかしくなった。

お盆明けだからかずっと仕事が忙しくて、15日に読み終わっていたのになかなか更新できずにいました。
更に読み始めたのは、広島旅行の時、持って行った1冊があっという間に読み終わってしまったので買ったから、7月下旬に読んでたのです。ラストのほんの数ページを読んでいなくて、こんなに日が経ってしまいました。
坂木さんの作品はやっぱり好きです。
特徴として、日常ミステリで人が死ななくて、本当の悪者はいなくてだんだん味方や友人が増えていくっていう印象。
今回もそんな作品でした。自分の周りに困っている動物や人間が寄ってきて、生粋の生物委員の和也。最初は今時の若者って言う感じの印象だったけど、本当に優しくておせっかいな人。私も読んでいて、和也の周りの動物や人が助けを求める理由が分かったように思います。
特に印象的だったのは、第4話。真由子のマニキュアが爆発したっていう話をしている時、和也はまじまじと真由子の手を見ます。何かと思ったら「いや、怪我しなかったかと思って」…さりげなく素敵過ぎますよ、和也君。
チーズケーキやコーヒーを奢りたくなる気持ち、分かります。
和也と沢田の関係も、坂木作品っていう感じですね。
沢田は、よくわからないやつだけど、きっと何処かで生粋の生物委員の和也に助けられた時があったんだろうな。
シゲさんの過去もとっても興味深かったし。
面白かったです!
続編は出ないのかな。和也と沢田のコンビを、また見たいです。

〈創元クライム・クラブ 2005.5〉H21.8.15読了