鬼姫人情事件帖
鬼姫人情事件帖
追っ手から逃れる途中に、滑落し記憶を失った美里藩の「りん姫」は、
<鈴屋>という江戸の居酒屋店主・和助に助けられる。記憶が戻るまで<鈴屋>で
「おりん」として働くことになった。
<第1話>冨士参り
高木屋の番頭・雄吉の妻が殺されるという事件が
起きる。下手人は、遊び人己之吉。しかし数日後、己之吉は自殺してしまう。
事件は下手人の自殺という結果で終わったかに見えたのだが。
<第2話>人形流し
近江屋茂兵衛の身請けが決まったおみのだったかかつて心中した勝太がそれを許さなかった。人形流しの日、川で死んでいるおみのが見つかる。勝太が下手人として疑われた。
<第3話>七夕
長内猪十郎の家で、妻の久と薬売りの与平が死んでいた。猪十郎が下手人として捕らえられたが、死んだ2人が不倫関係にあったとわかり、釈放される。おりんがどこか納得がいかなかった。
<第4話>月見
相撲取りの響が何者かに毒殺された。響は事前に大御所の風浪との対戦をわざと負けて欲しいといわれていた。それに背いたからなのか。金沢屋の娘、ひと恵が下手人を探していた。
<第5話>七五三
おりんのならっている三味線に新しい仲間が加わった。呉服屋の番頭、高宮和平の妻お梅である。お梅はかつて岩助という男に襲われた暗い過去があった。その岩助が殺された。岩助の手にはお梅の簪が握られていた。
<第6話>羽子板市
林屋のアザミという女中がいなくなった。許婚の徳助がむかっても番頭も当主も聞く耳を持たない。おりんも調査をするが、同じ結果。しかし新たな情報も入る。当主の妻、およねも行方不明だという。
<第7話>薮入り
田原家は7年前、強盗に襲われ、当時の番頭の茂助が殺されたのだ。当主の伝兵衛も口が利けずに寝たきりとなっている。そして、最近男が店の周りをうろついていた。女中のお夕が心配していた。数日後、その男と伝兵衛が何者かに殺害されているのが見つかった。

面白かったです^^鯨さんの作品は本当に好きです。
命を狙われていたりん姫が記憶を失い、引き取られたお店で働き始める。
おりんは記憶はないが、かなりの長刀の使い手。
自分の顔に化粧を施し、界隈で起きた事件の下手人を成敗するようになる。
それはいいのか?殺人罪ではないのか?という大きなツッコミは置いておいて。
どの事件も意外な犯人だったりするので、驚きます。
おりんの自分の胸と相手の胸を重ねると相手の気持ちが分かる能力も面白い。
おりんは自分の正体に最後気付くけど、最後がとっても気になる形で終わります・・・。
続編は出るのかな。
出てほしいなぁ。長刀を振り回して悪を倒す、おりんをまた見たいです。

〈PHP研究所 2009.4〉H21.8.14読了