まっすぐ進め
まっすぐ進め
クチコミを見る

オススメ!
「ふたつの時計」
川端直幸は本屋へワインの本を探しに行った時、綺麗な女性が本を真剣に探していた。その姿に釘付けになったが、ひとつだけ不思議な所があった。その女性は腕にふたつの腕時計をしていたのだ。直幸はその女性の事が頭から離れない。かつての同僚黒岩正一とその彼女太田千草にその心を見破られ、本屋での出来事を飲みの席で話した。ふたつの時計をしているというところで、2人は会社の同僚ではないかと考える。その予想は当たり、千草と同期入社の高野秋という女性だった。2人のお陰で、4人の飲み会が実現した。秋が帰った後、3人はなぜ秋が時計をふたつつけているのか推理を始める。
「ワイン合戦」
正一と千草は驚いた。4人での飲み会で、直幸と秋が2人一緒にやってきたのだ。しかも水族館へ行ったのだという。一体いつの間に2人はそんな仲になったのだろうか。4人が飲んでいると、近くの席で美男美女のカップルがいた。2人は何故か同じワインボトルを2本頼み、それぞれのボトルで飲むという不思議な飲み方をしていた。4人それぞれ何故か推理する。どの考えも的を得ないなか、直幸は答えを見つけたようだった。2人は飲みかけのボトルをそれぞれ持って帰るだろうと予想する。
「いるべき場所」
直幸と秋は、ショッピングモールで買い物をしていた。直幸の部屋に置く、秋のマグカップを探すためだった。お昼を食べようと向かった先で、小さな女の子を見つける。名前はみさきというらしいが、案内所へ連れて行こうとしても頑なに拒む。2人はしばらくみさきちゃんと一緒にいることにするが、直幸は遠くで視線を感じた。そしてもう一つ気になる事があった。みさきちゃんの背負っているリュックは、背中に接着剤で張り付いていたのだ。
「晴れた日の傘」
引っ越し祝いとして正一の新居に直幸と秋がやってきた。同時に正一と千草の婚約祝いも兼ねていた。2人は千草の実家へ行き、挨拶をしたのだという。千草の父親は中学生の時に亡くなっていた。その父親が、将来娘が嫁ぐ時、相手の男に渡して欲しいものがあるといっていた。それは大きな傘だった。
「まっすぐ進め」
もうすぐ秋の誕生日。直幸はそれを告げると、秋がその日会社を休んで欲しいという。その日向かった先は、秋が高校まで過ごしていた仙台。秋は全身黒の服を纏い、向かった。秋の誕生日は、両親と双子の妹紅葉の命日なのだという。家族の眠る場所で、秋は自分の過去を話し始めた。

この本好きです。凄く好き。
前回があまりに良くなかった^^;からかもしれないけど。
座間味君シリーズとか、「人柱はミイラと出会う」のような爽やかな印象でした。
直幸と秋の関係がとても素敵でした。
直幸は童顔で、笑った顔は少年のようだけど、お酒が好きで、頭がいい。
だから、秋がなぜ時計をふたつはめているのかを見抜き、2人は交際するようになります。
確かに何でも見破ってしまいそうな直幸が怖いとも思うけど、凄く気が遣えて、相手のことを思いやる、素敵な男性だと思いました。
あぁ。。。こんな人が近くにいれば(絶対いない)
秋も、女性らしくて素敵だったな〜。女性が憧れそうな人。
2人の関係が、帯を見ると心配になったのですが、本当に微笑ましくて可愛らしいカップルでした。
二人が名前で呼んでいるのが本当に可愛かった。
「ワイン合戦」で、あまりに短期間で恋人になった二人を目の当たりにした正一の分かりやすい反応も面白かったけど。
正一と千草のカップルも、素敵でした。
好きだったのはやっぱり表題作。
ずっと知られていなかった秋の過去がついに明らかになるというもの。
それは2人の間では禁忌で、でもそれを乗り越えないと前に進めない大切な事。
その事実はなんとなくこんな感じだろうなと読めてしまったのだけど、直幸の推理には度肝を抜きました。
やっぱり2人は、一緒になるべくしてなったんだろうなと^^
大満足の作品でした。
あと、それから2人がデートしたという「羽田国際環境水族館」って、「水の迷宮」の所だよね。
微妙にリンクしているのが嬉しくなりました。

〈講談社 2009.5〉H21.7.23読了