踊るジョーカー―名探偵 音野順の事件簿
踊るジョーカー―名探偵 音野順の事件簿
推理作家の白瀬は、とっても気弱な友人・音野順が秘める謎解きの才能を見込んで、仕事場の一角に探偵事務所を開いた。
今日も白瀬は泣き言をいう音野をなだめつつ、お弁当のおにぎりを持った名探偵を事件現場へ連れてゆく。
「踊るジョーカー」大富豪の主が地下室で殺された。その現場にはトランプがばら撒かれ、彼を貫くナイフにも多くのトランプが刺さっていた。容疑者は息子と息子の婚約者、そして警備員の中の誰か。
「時間泥棒」資産家の両親がなくなり、遺産を相続した姉弟。ここ数日、何故か時計がいくつもなくなるという騒動が起きた。警察に行くにもなくなったのが時計だけだと捜査も及ばないだろうと考え、弟と、姉の彼氏が探偵事務所へ来た。
「見えないダイイング・メッセージ」依頼者がやってきた。最近殺人事件が起き、父親が何者かに殺されたのだという。父はダイイングメッセージを残していた。死んだ場所には金庫があり、誰も開けることができない。その金庫の暗証番号を調べて欲しいという。そして同時期に、音野の兄がやってきた。
「毒入りバレンタイン・チョコ」大学の構内で毒物騒動が起きる。被害にあったのは女性で、皆でチョコを食べていたのだという。無差別なのかそれとも作為があったのか。捜査に乗り出す。
「ゆきだるまが殺しにやってくる」白瀬と音野は道に迷い、山道を車で走っていた。すると、ゆきだるまがいっぱいの大きな屋敷にたどり着く。そこで運よく泊めてもらうことができたが、今は取り込み中らしい。どうやら、家の主の娘の嫁候補が揃っており、自分達も参加してほしいのだという。

北山さん、2冊目です。
現代のお話なのに、以前読んだ「少年検閲官」が思い出されてしまい、どうも時代錯誤な感じがしました。
携帯電話って言う言葉で反応しちゃったり。
でも、面白かったです。トリックも、ストーリーも。そして登場人物も面白いですね。2人の関係が可愛らしかったです。
男女だったら発展しそうなのにな。残念でした。
個人的に「見えないダイイング・メッセージ」で初登場した高庭警視は昔の金田一少年の事件簿の明智警視を思い出しました。あの後はいい人になったんだけど。

〈東京創元社 2008.11〉H21.4.3読了