聖女の救済
聖女の救済

男が自宅で毒殺されたとき、離婚を切り出されていたその妻には鉄壁のアリバイがあった。
草薙刑事は美貌の妻に魅かれ、毒物混入方法は不明のまま。
湯川が推理した真相は—虚数解。
理論的には考えられても、現実的にはありえない。

ネタバレありです。

ガリレオシリーズ最新刊です。
ドラマの影響なのかわかりませんが、内海刑事が大活躍でしたね。
あんなに冷静沈着な推理と捜査を繰り広げていたのでしょうか。
ガリレオシリーズは「探偵ガリレオ」「予知夢」「容疑者Xの献身」に次いで4冊目ですが、湯川&草薙コンビで読んで来たので、内海刑事がいることが最初は違和感を感じてしまいました。
でも読んでいくうちに、草薙さんと内海さんが異なる見解で捜査を進めていくので、面白かったです。
今回は草薙さんはどうも頼りないというか、言動が固執しすぎているというか…。
湯川教授の言うとおり、感情にのみこまれてはいなかったと思うのですが。
それがちょっと残念でした。
始めから犯人が分かっている状態でしたが、トリックは衝撃でした。
奥さんの執念や悔恨が伝わってきます。
死んで当然ですよ。あんな、女性をものとしか思わず、自分の都合の言いように動かそうとする人間なんか。いくら優秀でも人以下です。
…って言ったら、言いすぎですけど。
本当に酷い。女性が子どもを産まなかったら、まるで生きてる価値がないみたいな言い方、私は嫌でした。
冒頭の夫婦の会話、見事に騙されました。トリックを知ってから読み返すと、なるほどと思います。
東野さん、流石です。
でも、全然関係のない箇所で「福山雅治」という言葉が2回出てきたのですが、必要だったのでしょうか^^;

〈文芸春秋 2008.10〉H20.12.8読了