
ぬしさまへ (新潮文庫)
日本橋大店の若だんな・一太郎は、めっぽう身体が弱く、くしゃみひとつとしただけで布団にくるみ込まれてしまう始末で、放蕩なんてことは、夢のまた夢。
そんな若だんなの身の回りを守っているのは、犬神・白沢・屏風のぞきといった摩訶不思議な連中たち。
でも、店の手代に殺しの疑いをかけられたとなったら黙っちゃいられない。
若だんなの音頭のもと、さっそく妖怪たち総出で調べに乗り出すのだが…。
若だんなと妖怪たちが、難事件を次々解決!史上最弱だけど、最強の味方が憑いてる若だんなの名推理。
「ぬしさまへ」
商人の娘、おくめが溺死しているのが見つかった。おくめは水が苦手で一人で川に近づくような事はしない。事件の可能性があり、わかだんなと妖たちは調査を始める。
「栄吉の菓子」
栄吉の菓子を食べた老人が苦しんで死んだ!栄吉は下手人として疑われる。若だんなは幼馴染の疑いを晴らすため、亡くなった九兵衛の身辺を調べ始める。
「空のビードロ」
佐之助は奉公人として東屋で働いていた。その東屋で猫が次々と殺される。その猫を縛っていた手ぬぐいが佐之助のものと似ていると指摘を受け、犯人と疑われる。
「四布の布団」
新調した若だんなの布団は四布だった。父と手代は田村屋へ抗議をしに向かう。底の主人は酷い癇癪もちだということで有名だった。その田村屋で、人が死んでいた。
「仁吉の思い人」
若だんなは夏バテで例によって床に伏せっていた。今回は特に酷く、何も喉を通らない。何とか薬を飲ませようと、佐助が仁吉の失恋話をしようと言い出す。
「虹を見し事」
一太郎は違和感を感じていた。いつもは妖たちが近くにいるのに、だれもいない。仁吉も佐助も様子が違う。一太郎は誰かの夢の中にいると感じ、その人物を探す。
「しゃばけ」を読んで、はや2年半…。ようやく第2弾を読みました。
面白くって可愛くって、読むのがもったいないと思い続けていたら続々シリーズが刊行されているので流石に読まないと追いつかなくなるなと思い、読みました^^;
今回は短編集ですが、それでもやはり面白いです。
若だんなは相変わらず病弱だけど、頭は良くて優しい人。
仁吉と佐助も甘いのは相変わらず。妖たちもたくさん登場。こうでなくっちゃね。
印象に残ったのは「空のビードロ」ですね。
「しゃばけ」では出会うことが出来なかったお兄さんと会うことが出来て、お兄さんがどれだけ苦労しているのかがわかりました。
お兄さんもよくぐれずに一生懸命働いていたね。そして東屋を抜けることが出来てよかったです。
これからは2人の会話ももっと聞くことができるのかな。楽しみです。
それから「仁吉の思い人」。究極の愛ですね。
私、相手はもしかしてあの人なんじゃないかと思いました。辛いですね。
こんな切ない恋、私は怖くて出来ません。
さ、これから「しゃばけ」シリーズをどんどん読んでいきますよ^^
〈新潮社 2003.5〉H20.10.24読了
私も同じく、「空のビードロ」と「仁吉の思い人」が好きでした。どっちもほろほろっと泣けました。
しゃばけシリーズの中でも、この巻は特に好きです。優しさと切なさであふれていますね。