流れ星が消えないうちに

大好きな人が死んじゃうよりも、世の中にはもっと悲しいことがある…。
つらくって一睡も出来なくても、朝は来るし。
涙が涸れるほど泣いてても、やっぱりお腹は空くもので。
立ち直りたいなんて思ってなくても、時間はいつでも意地悪で、過ぎ去った日々を物語に変えてしまう—。
玄関でしか眠れないわたしと、おバカな僕と、優しすぎる彼を繋ぐ「死」という現実。深い慟哭の後に訪れる、静かな愛と赦しの物語。

橋本さんの作品は初めて読みました。ライトノベルを書かれている方なんですね。
優しい話でした。
登場する人に悪い人はいないんです。みんな優しくて、だから傷つく。
19歳と言う若さで死んでしまった奈緒子のかつての恋人、加地。
加地の親友で、奈緒子との仲をとりもった、今の恋人、巧。
こう聞くと心の中ではいろんなものが渦巻いているように感じる。
でも、そういう思いもあるけど、それとは違う複雑な思いを抱えている。
巧が言っていた言葉。
「前から奈緒子を狙っていたんじゃない、加地がいなくなったから、奈緒子を狙ったんだ」
巧は加地をさしおいてまで奈緒子をほしかったのではなく、加地と奈緒子が一緒にいる姿を見るのが好きだった。
奈緒子が加地を忘れなかったら、その思いも一緒に守ってやる。
読んで綺麗事と思ってしまったらそれまでだけど、私はこういう恋愛も、ありだと思う。
それは辛い事かもしれないけど、表面だけではなくて、相手の深い深い部分まで大事に思えるような気がするんだ。
相手の心の傷も、受け止めるってことだと思うから。
奈緒子も、そんな巧の想いに甘えるだけじゃなくて、加地の分まで、加地を利用しても幸せになろうとする。
そんな二人だから、応援しようと思うのかなと思う^^
巧みたいに、全てを受け入れてくれて、前向きに考えようとする人って、いいなぁ。

〈新潮社 2006.2〉H20.9.30読了