ラン

環は家族を失い、その後育ててくれた伯母を失い、一人でアルバイトをしながら暮らしている。
人に心を開く事が出来ず、いつも一人ぼっちの環は自転車屋の紺野と親しくなる。
紺野もまた、大切な家族を失っていた。
ある出来事をきっかけに、今野は自転車屋をたたむ事になり、環は自転車をプレゼントされた。
それは、今野の息子が乗るはずだった自転車、息子が1度も乗る事のなかった自転車だった。
その自転車に乗り、国道を走り続けると自転車が勝手に走り出し、壁を越える。
それで環は、10年前に失ったはずの家族に会うことが出来た。
家族に会えるまでには40キロの距離がある。
自転車の持ち主に出会い、返さなければならない。
そうなると、家族とはもう会えなくなる。
環は自分の足で、40キロを走りぬく事を決意し、トレーニングを開始する。

久しぶりの森さんの作品です。
やっぱりこういう作品がいいなぁ、森さん。懐かしい感じがしました。
はじめ、どうして「カラフル」から10年っていうキャッチコピーなんだ…と思ったのですが、納得です。なるほど。
私は、家族を失った事がないから、分からないのかもしれないけど、環は、家族を失った時に縛られて、前に進めない毎日を送っていたんですよね。
主人公の環が、家族を失い、何となく人と関わることを拒んでいて。そして返す言葉はひねくれてるし…。
もっと何とかならないのかなと、ちょっともどかしさも感じてしまいました。
走る事を決意してから、人を受け入れて、だんだん成長していくのが分かりました。
とっても可愛くていい子だって、思ってきました。
チームの他のメンバーもいろいろ事情を抱えていて、メンバーもフルを挑戦する事で、変わっていきましたね〜。
「風が強く吹いている」を思い出しました。
コーチが一風変わってるところとか^^;強引な勧誘とか。
私もマラソンをしているので、ちょっと親近感。
でも、チームに入っているわけではないので、あっというまに環には抜かされたけど。
ドコロさんの話がめちゃくちゃだけど、まっすぐでかっこよかったです。
スポ根ですね。こういう話、好きです^^

〈理論社 2008.6)H20.8.9読了