あなたの呼吸が止まるまで

舞踏家の父と暮らす12歳の少女、野宮朔。夢は、作家になること。
一歩一歩、大人に近づいていく彼女を襲った、突然の暴力。
そして、少女が選んだたった一つの復讐のかたち。
いつかあなたとの話を書きます。たとえ何十年後でも――。待望の最新長篇。

母親が出て行き、舞踏家の父と二人暮らし。
関わるのは父と同じ舞踏家や舞台に携わる大人の人。
だからか、家事もできるし気配り上手だし、喋り方も考え方も大人びてる朔。
読んでいても朔は大人だと思った。
でも、中身はやっぱり子どもなんだよ。人生経験の少ない子ども。
子どもの恋に似た想いにつけ込んで行った佐倉の行為は犯罪といっても言い過ぎではないと思う。
佐倉がどう思ってるかは分からないけど、30過ぎた男がやることじゃないよね。
最初は騙されたけど^^;やばいか…。
結局佐倉も子どもなんだろうな。こういう人、島本さんの作品では多い気が…。
でも、朔が復讐を決め、生きようと思ってくれて良かった。
出来れば田島くんと?幸せになってほしいな。良いこだよねぇ。
朔のお父さんも、朔の事を大事に思っているのももちろん、一人の人として見ているのはよかったかなと思う。勘も鋭いし。
ダメ男予備軍の気はするけど。実際舞踏に没頭しすぎて朔への連絡を怠るのはひどいと思うし。
でも、どれだけ不安にさせているのか、何だか分かったようだから、お父さんは大丈夫かなと思う。
お父さんが言った「お父さんは娘を可愛がってくれる女の人がタイプなんだよ」と言う言葉は、ちょっと感動しました。

〈新潮社 2007.8〉H20.5.28読了