青い鳥

村内先生は中学の非常勤講師。
国語教師なのに吃音を持つ先生の、一番大切な仕事は、ただ「そばにいること」。
「ひとりぼっちじゃない」と伝えること。
いじめ、自殺、学級崩壊、児童虐待……
子どもたちの孤独にそっと寄り添い、だからこそ伝えたい思いを描く感動作。

短編集で、主人公の中学生は皆違いますが、どの作品にも村内先生という吃音を持つ先生が登場します。
主人公の子達は、心に何らかの傷を抱えています。
それは自分が原因だったり、家族だったり友達だったりするんだけど。
その心に抱えているものを、村内先生は誰よりも理解し、側にいてくれるんです。
無理強いをするわけでもなく、同情するわけでもない。
それが、尚更心にきます。
先生は、その生徒達に「間に合ってよかったなぁ。」といいます。
何らかの事件を起こしたり、自殺をする前に・・・という意味ではなくて、
「自分を嫌いになる前に」。
先生は素晴らしい人だと思います。こういう先生がいたら、学校も変わると思います。
でも、それだけ生徒の事に気付くと言う事は、先生も過去に辛い思いを強いられてきたからなのだと言う事も感じさせられます。
重松さんの書く学校の問題は読んでいて辛い部分もたくさんあるんですが、学校という隔離された場所の現状を知ることが出来ますし、考えさせられるので、もっと読みたいって、思うんですよね。

〈新潮社 2007.7〉H20.3.9読了