タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)

オススメ!
カウンター七席、テーブル五つ。下町の片隅にある小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルのシェフは、十年以上もフランスの田舎のオーベルジュやレストランを転々として修行してきたという変わり者。
無精髭をはやし、長い髪を後ろで束ねた無口なシェフの料理は、気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。
そんなシェフが、客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解く。
定連の西田さんはなぜ体調をくずしたのか?
甲子園をめざしていた高校野球部の不祥事の真相は?
フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか…。

連作短編集です。
舞台がフレンチレストランということで、どういうストーリーなのかと思ったら、やはり日常ミステリでしたね。
どの作品もフランス料理にまつわる事情を抱えたお客様の話が絡んでいて、どれもなるほどと納得。
シェフがいつも寡黙なのに、事件?のことになると饒舌になり、料理を通して解決に導くんですよね。
私が特に好きだったのは「ぬけがらのカスレ」かな。
こういう恋愛ものは弱いです。
どの作品も、最後はあったかい気持ちになりました。
やっぱり近藤さんの作品は大好きです。

〈東京創元社 2007.10〉H20.1.28読了