オーデュボンの祈り

オススメ!
伊藤はコンビニエンスストアで強盗未遂事件をおこし、警察に逮捕された。
逮捕した警察官は、中学のときの同級生、城山だった。
誰よりも優等生で、誰よりも残酷で、人を傷つけることを快感と思っている卑劣な人間。
こんな男に捕まるのならば、強盗なんかしていなかった。
伊藤は気が付くと、見たこともないところで眠っていた。
身体のあちこちが痛い。城山にやられたのだ。
そこは、日本から隔離された日本の島、荻島。
ここに住む人間は、150年も島の外へ出たことがない。
伊藤が目を覚ましたときに現われた日比谷と言う男に連れられて、着いた場所には案山子がいた。
ただの案山子ではない。
この島が日本から離されたときから存在し、話すことの出来る案山子だった。

面白かったです。
噂に聞いていて読みたくてしょうがなかった作品。
やっと拝むことが出来ました。
内容がとにかく驚きの連続でした。
話すことの出来る案山子っていうのが思い浮かばないです。
日本から離れていて、島から出たことがなく、外の世界を知らない人々。
その人たち一人一人が個性的で面白かった。
足が変に曲がっている男の人。
屋根で暮らす女性。
人を殺すことが許されている人。
クマのような人。
言っていることと反対のことを言う人。
でもみんな汚れていない、キレイな心を持っている人だなって思うよ。
島でしか生活をしたことがないから、言葉とかものの考え方が日本と違って面白い。
特に好きだなって思ったのは「夜景」と言う言葉。
「夜を楽しむことが夜景を楽しむこと。星と夜と、真っ暗な海。」これが荻島の夜景と言う言葉の意味。
確かにそうかも。って思っちゃった。
夜の景色だもの。
案山子である「優午」の言った言葉と、島の人の行動が段々結びついていくんだよね。
「ラッシュライフ」もそうだったけど、伊坂さんはそうやって多くの道を一つにつなげるのがとっても上手い作家さんだと思う。
段々理解していけて、読んでいて面白かった。
ラストもすっきりしたよ。
伊坂さんの作品、コンプリートしていくぞ〜

〈新潮社 2000.12〉 H17.6.27読了