
オススメ!
「Colling You」
女子高生リョウはケイタイを持っていない。
友達がいないから。持っていても掛けてくれる相手もいない。
でも、本当は憧れてる。
自分がケイタイを持っている姿を想像する。
そしていつのまにか、ケイタイが頭に思い浮かぶようになっていた。
そのケイタイの着信が鳴り響く。
「傷 −KIZ/KIDS−」
「オレ」は精神に問題があるといわれ、特殊学級に入った。
そこで「アサト」という転校生と出会う。
アサトは人に出来た傷を移動する能力を持っていた。
「華歌」
愛する人と生まれてくるはずだった子どもを事故で失い、生きる力を失った「私」
私も心と身体に傷を負い、病院で療養していた。
傷は癒えることがなく、ただ生きている毎日を送っていた。
病院を出て、雑木林のそばへいくと、人ひとりが入れるほどの小道を見つける。
そこには、見たことのない、綺麗な花が咲いていた。
その花は歌を歌っていた。
3編ともとても素敵な話だった。
それも切なくて、でも読んだ後はあったかい気持ちになるような、そんな感じ。
「Colling You」は発想が面白いよね。
頭の中の架空のケイタイ同士での会話。
ラストが切ないけれど、でも前向きな話。
「傷−KIZ/KIDS−」は読んでいて、ずっと痛々しく感じた。
アサトやオレのような子は実際多くいるんじゃないかな。
相手は子どもだから、言っても良い、やってもいい、そんなことはあるはずない。
アサトが凄く純真無垢で、透明で、放っておけなくて。
挿絵の天使の羽が、とても似合うような少年だろうなぁって思ったよ。
「華歌」も切ないね。これも綺麗な話。
幻想的で切なくて、みんな似た心の傷を持っていて。
一人ひとりの思いが凄く伝わってくる。
私もこの花の歌声を、聞いてみたいと思ったよ。
〈角川スニーカー文庫 2001.6〉 H17.6.10読了
calling youは確かにものすごい発想ですよね!!乙一の物語は全部発想力が豊かで驚きですね!!