虹いろ図書館のへびおとこ (5分シリーズ+)
櫻井とりお
河出書房新社
2019-11-19


オススメ!
いじめがきっかけで学校に行けなくなった、小学6年生の火村ほのか。たどり着いたおんぼろ図書館でみどり色の司書、謎の少年、そしてたくさんの本に出会い、ほのかの世界は少しずつ動き出す!こころを彩る感動の物語。世界一美しいラストが、あなたを待っています。第1回氷室冴子青春文学賞大賞受賞作。

ずっと気になっていた作品。ようやく読めました。
だってタイトルに図書館って書いてある!やはり舞台は図書館。
いじめられたことで学校へ行けなくなったほのかは図書館にたどり着きます。それがきっかけで毎日図書館へ通うようになるのですが、職員は平日に毎日図書館に来ているほのかに対して何も言いません。ほのかは図書館で沢山の発見をし、本を読み、図書館の仕事を手伝うようになります。
紙上で読んで覚えていたはずの「図書館は利用者の秘密を守る」という言葉。そういう意味か…と今更ながら思ったりして。イヌガミさんの言っていることは正しい。「問いただしたら、その子はここに、もう来られない。(略)そうやって子供の行き場を無くし、追いつめろというのですか?」ほのかに対して何も言わなかったイヌガミさんの想いがこの言葉に込められていて、泣きそうになりました。それはきっと、イヌガミさん自身もきっと経験したことで。
イヌガミさんは優しい。でも、ただ優しいだけじゃない。ほのかがイヌガミさんに伝えた言葉に対してのイヌガミさんの返事はなかなかヘビーだ。でも、ほのかならきっと分かってくれると思ったから言ったんですよね。ほのか「さん」っていつも言っているし、子ども扱いをしていないところがとても良いなと思いました。ほのかが本を好きになったのも嬉しかったです。「真理がわれらを自由にする」という言葉がこんなにも納得がいって胸が熱くなったのは初めてです。勉強していたことがこんなにすとんと納得できるなんて。現職の図書館司書の方が書かれたから尚更納得できたのかなと思いました。変に勉強しているもんだから指定管理になったその後の図書館、職員がおそろいのユニフォームって書かれていて指定管理先はあの会社か…?とか変に探ってしまう自分にちょっと突っ込んだりしましたけど^^;
最後が唐突でびっくりしたのですが、なにこれー!めちゃくちゃきゅんきゅんする展開!
そうかそうか、からかっていたのは好きだったからなんだね(ニヤニヤ)一生会えないかもしれないと思ったら会えたから素直になったんだね。もー!!可愛すぎ!ニヤニヤしながら、ほっこりしながら、読み終えました。今も余韻に浸っています。
双方の著者さんに失礼かもしれないけど、全然違う作品だし、境遇も違うのだけど、イヌガミさんの最初の印象は御子柴さんだった。子どもだろうと対等に話す感じと、見た目は怖そうだったり何を考えているか分からない感じだけど図書館司書という仕事に誇りを持っている熱い男だってところとか。こちらの本も読み返したくなりました。

<河出書房新社 2019.11>2020.11.16読了